7月1日から報酬限度額(仲介手数料)が改正されました。

不動産仲介業者が受け取ることのできる報酬額は、宅地建物取引業法第46条で上限額が定められています。具体的には国土交通大臣が定める告示に依るのですが、この告示が6年ぶりに改正されたんです。

低廉な空家等の報酬特例の改正です。長ったらしくて、わかりにくいですね。
不動産業における空き家対策の推進に向けた取組の一環として、これまでの特例の内容を改正するものです。
誤解を恐れずに端的に言うと「仲介手数料を引き上げるから、値段が安い空家もがんばって売ってね!」ということです。

◆空家の所有者から見れば空家にしている事へのペナルティだし、仲介業者からすれば空家を流通させることへのご褒美みたいなもんでしょうか。買主さんは、とんだトバッチリ
不動産業者目線で実務的に見れば、200万円の物件仲介も800万円の物件仲介と同じ手間がかかるんだから当たり前でしょう?となります。
でも、消費者目線で見れば、なぜ安い方に統一してくれないの? その報酬額って高すぎないの??? でしょうね。

◆気を付けなければいけないのは、あくまでも「空家等」についてのお話だということ。
人が住んでいれば、原則通りの仲介手数料(報酬)です。

◆これまでも「低廉な空家等」についての特例はありました。
 売買仲介の場合で見てみると、 

A 売買代金額400万円以下については、
B 売主からは「原則」の報酬限度額に加えて、「現地調査等に要する費用相当額」を受け取ることができる。
C ただし、19万8千円(=400万円×4.4%+22,000円)を超えることができない。
D 買主からは「原則」の報酬限度額しか受け取れない。

◆今回の改正は、この特例を更に拡大したものです。

A’ 売買代金額800万円以下については、
B’ 売主からは「原則」の報酬限度額に加えて、「現地調査等に要する費用相当額」を受け取ることができる。
C’ ただし、33万円(=800万円×3.3%+66,000円)を超えることができない。
D’ 買主からも「原則」の報酬限度額に加えて、「現地調査等に要する費用相当額」を受け取ることができる。
 ただし、33万円(=800万円×3.3%+66,000円)を超えることができない。

A⇒A’の改正は、「低廉」の金額を400万円から800万円に引き上げ
B⇒B’の改正は、「現地調査等に要する費用相当額」という限定を解除
C⇒C’の改正は、A⇒A’の改正に伴うもの
D⇒D’の改正は、これまでは買主からは原則どおりの報酬しか受け取れなかったものを売主と同様に拡大したもの

でも「低廉な空家等」って何?って疑問出ますよね。
「低廉な」については、売買代金が800万円以下、とはっきりしています。
「空家等」については、宅建業法上では明記されていませんが、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の第2条に「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」と定義されているので、このように解釈するのが適当と思われます。(すみません、裁判の判例までは調べていません…)